things to see and do this week

今週見たい映画やアート、カルチャーイベント4選。

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ソフィ・エブラード 写真展『It’s Just Love』

ポルノを舞台に、カメラの前にいる個々人の人間性に焦点を当て、被写体のリアリティある姿を鮮やかに写し出すフランス人フォトグラファー、ソフィ・エブラード。本展では、ポルノ作品のディレクター・ガズマンに密着取材し、4年間にわたり世界中の撮影現場を写真におさめた作品を展示。いわゆる性産業を取り巻くイメージではなく、より軽やかな側面と、そこに生きる人々を温かく照らし出すことで、極めて詩的で美しい、親密な瞬間を明らかにする。作家のアパートと同じ装飾を施し、電話から聞こえる女優たちの囁きや、映像などで演出された展示空間で作品に対峙すれば、「It's Just Love」というタイトルが示す、彼女のオープンな眼差しによって切り取られる“純粋な愛”の形を感じることができるはず。

FRANK WORK STUDIO (http://www.kyotographie.jp/kgplus/portfolio/sophie-ebrardits/)/開催中〜5月7日(日) /13:00〜19:30/入場料: 500円/Photo:It's Just Love ©Sophie Ebrard

2

越後しの 個展「思わせぶりな沈黙」

画材店で勤務をしながら独学で制作を続け、東日本大震災をきっかけに制作した『栽培』シリーズを発表後、本格的にアーティストとしてのキャリアをスタートした越後しの。「幼い女の子もおばあちゃんも、野心を秘めて何かに黙念と打ち込む女性は、美しく逞しい」という主題に沿い創作する彼女の人気は、東北各地の愛好家だけでなく、東京から中国、台湾などへと広がりをみせている。どこか物憂い表情を浮かべ、心理を諭すような視線を投げかける少女や少年たち。含意の深い余白に佇む彼らは、私たちに一体何を語りかけているのだろうか。観るもののシンパシーを震わせ、現実とファンタジーの境界を溶かす作品の魅力をじっくりと味わってみては。

AL( http://al-tokyo.blogspot.jp/2017/03/blog-post.html )/開催中〜5月10日(水)/11:00~19:00(最終日のみ18:00まで)/入場無料

3

根本宗子 作・演出舞台『新世界ロマンスオーケストラ』

気鋭の劇団「月刊「根本宗子」」を主宰、自身が作・演出を、歌手の大森靖子が音楽を手がけた舞台『夏果て幸せの果て』が、第60回岸田國士戯曲賞の最終候補に選出されるなど、各方面から注目を集めている劇作家・根本宗子。今回の舞台『新世界ロマンスオーケストラ』は、“スーパープラトニックハーレム演劇”と彼女が語る新感覚のコメディ作品。蜷川幸雄、岩松了といった重鎮から高い演技力を評価される上田竜也を主演に迎え、清水くるみ、長井短といった旬で個性溢れるキャストに加えて、根本自身も一役者として舞台に登場する。一人の男と、彼を囲む美しい女たちによる駆け引きを、スリリングかつユーモラスに描くストーリーは、演劇カルチャーの“いま”を体現する表現者たちによって、エネルギッシュな熱を帯びながら次々と展開され、観客は物語の世界に深く引き込まれていくだろう。

公式サイト( http://www.sekaroma.com )/【東京公演】:東京グローブ座/
4月30日(日) 〜5月21日(日) 全25回公演/S席8,800円 A席7,800円 B席5,800円 (全席指定・税込・未就学児童入場不可) /【大阪公演】:シアター・ドラマシティ
/5月26日(金) ~ 28日(日) 全5回公演/8,800円 (同上) /詳細はWEB

4

FEMM デジタル・ニューシングル『Do It Again feat. LIZ』

「ULTRA JAPAN」や「YouTube FanFest」への出演、ロンドンやコペンハーゲンなどの海外で行われたイベントでパフォーマンスを披露するなど、国内外で高い評価を受けるマネキン・ラップ・デュオ「FEMM」。今回、Diplo率いる人気レーベル「MAD DECENT」のLIZをフィーチャリングに迎え、通算10枚目のオリジナル・デジタル・シングル『Do It Again feat. LIZ』をリリースする。2016年以降、自身の音楽テーマに据えてきた「80年代リバイバル」の集大成的作品の今作。先行して公開されたMVは“SPRIT DEPTH”という手法を用い、画面上を線で区切ることで生じる目の錯覚を利用して、3Dグラフィック処理を行わずに奥行きや立体感を表現した“フェイク3D”作品に仕上がっている。一世を風靡したTVゲームに登場するヒロインたちの心境をエモーショナルに歌う、FEMMらしい新たなガールズ・アンセムを感じてほしい。

FEMM OFFICIAL WEBSITE( http://femms.jp/femme/top.php )/5月3日(水)リリース

This Week

和洋新旧の混交から生まれる、妖艶さを纏った津野青嵐のヘッドピース

アーティスト・津野青嵐のヘッドピースは、彼女が影響を受けてきた様々な要素が絡み合う、ひと言では言い表せないカオティックな複雑さを孕んでいる。何をどう解釈し作品に落とし込むのか。謎に包まれた彼女の魅力を紐解く。

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ヴォーカリストPhewによる、声・電子・未来

1979年のデビュー以降、ポスト・パンクの“クイーン”として国内外のアンダーグランドな音楽界に多大な影響を与えてきたPhewのキャリアや進化し続ける音表現について迫った。

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小説家を構成する感覚の記憶と言葉。村田沙耶香の小説作法

2003年のデビュー作「授乳」から、2016年の芥川賞受賞作『コンビニ人間』にいたるまで、視覚、触覚、聴覚など人間の五感を丹念に書き続けている村田沙耶香。その創作の源にある「記憶」と、作品世界を生み出す「言葉」について、小説家が語る。

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川内倫子が写す神秘に満ち溢れた日常

写真家・川内倫子の進化は止まらない。最新写真集「Halo」が発売開始されたばかりだが、すでに「新しい方向が見えてきた」と話す。そんな彼女の写真のルーツとその新境地を紐解く。

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動画『Making Movement』の舞台裏にあるもの

バレリーナの飯島望未をはじめ、コレオグラファーのホリー・ブレイキー、アヤ・サトウ、プロジェクト・オーらダンス界の実力者たちがその才能を結集してつくり上げた『Five Paradoxes』。その舞台裏をとらえたのが、映画監督アゴスティーナ・ガルヴェスの『Making Movement』だ。

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アーティスト・できやよい、極彩色の世界を構成する5つの要素

指先につけた絵の具で彩色するフィンガープリントという独特の手法を用いて、極彩色の感覚世界を超細密タッチで創り出すアーティスト・できやよい。彼女の作品のカラフルで狂気的な世界観を構成する5つの要素から、クリエーション誕生の起源を知る。

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『Making Codes』が描くクリエイティヴな舞台裏

ライザ・マンデラップの映像作品『Making Codes』は、デジタルアーティストでありクリエイティヴ・ディレクターでもあるルーシー・ハードキャッスルの作品『Intangible Matter』の舞台裏をひも解いたものだ。その作品には、プロデューサーとしてファティマ・アル・カディリが参加しているほか、アーティストのクリス・リーなど多くの有名デジタルアーティストが関わっている。

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ハーレー・ウェアーの旅の舞台裏

写真家ハーレー・ウィアー(Harley Weir)が世界5カ国に生きる5人の女性を捉えた旅の裏側、そして、ドキュメンタリー映像作家チェルシー・マクマレン(Chelsea McMullen)が現代を象徴するクリエイターたちを捉えた『Making Images』制作の裏側を見てみよう。

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ローラ・マーリンが表現する、今“見る”べき音楽

イギリス人のミュージシャン、ローラ・マーリンのニューアルバムに満ちている“ロマンス”。男っぽさがほとんど感じられないその作品は、女性として現代を生きることへの喜びを表現している。

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