マルチタスクをこなすのは誰にでもできることではない。アンバーは脳細胞をフル活用して、コメディのプロデュース、脚本、ディレクションを手掛けながら、ニューヨークのアイコン的ショー会場〈マックス・フィッシュ〉でコメディショーの共同ホストを務めている。それは、数ある既存のコメディショーに女性が少ないことに業を煮やした彼女自身が立ち上げたイベントであり、ニューヨークきっての女性、または女性に性転換したコメディアンたちのためにつくられた舞台でもある。彼女の十八番であるポーカーフェイスコメディは、ごく小さなころから身についていたものらしい。「子供のころ、階段に腰かけて、物思いにふけっていたの。それを見た父さんが、何を考えているんだいって聞いたわ。私は『そうね、人生って、理解はできないけど思わず笑っちゃう冗談みたいなものだってことに気づいたの』って答えたわ」と彼女は言う。今回、われわれは〈三段オチ〉の精神にのっとって、そのアンバーにおもしろいコメディをつくる9つの方法を聞いた。
脚本やディレクションはどのように始めるのですか?
会話から。大量のどうしようもないアイデアをまず出してみて、どれかピンとくるものがないか探すの。それからどの部分が私にとっておもしろいのかを洗い出す。で、最終的に編集者を笑わせられるようなものに仕上げるの。
コメディにおけるルールのようなものはありますか?
不条理ギャグを多用しないこと。……そしてそれをちゃんと実行すること。
では、プロダクション(彼女の会社)におけるルールは?
1:女性、同性愛者、白人以外の人種をできるだけ多く雇うこと。
2:チームに汚い仕事はさせない。
3:常に不測の事態に備えること。
コラボレーションはあなたにとってどのくらい大切なことですか? また、そうしたコラボは自然発生的に起こることなのでしょうか。それとも自分だけでやったほうが楽ですか?
私は生まれながらのコラボレーターなの。友達と一緒に大好きなものをつくり上げていくのは、何より楽しいわ。もちろん、自分一人でやったほうが簡単なこともあるけどね。マスターベーションとか。
ブランドのために仕事をしながら、自分自身にも妥協しない。どうやってバランスを取っているのですか?
ときには夢のようなクライアント(〈Giphy〉とか!)から仕事が来て、既存の枠を超えた、メッセージ性のあるクールでアヴァンギャルドなものをつくることができたりもするのよ。まあでも多くの場合、ブランドのためにコンテンツをつくるのは、ブランドのためにコンテントをつくることでしかないわ。だったら、自由度の高い自分のプロジェクト用の資金を稼ぐために、コマーシャルに徹するほうがいいでしょ。トップがいい顔しないものをねじ込むために時間を浪費したりはしないのよ。
願わくば、いつか自分自身のショーを立ち上げて、トップがいい顔をしていないシーンそのものを確立したいわ。
アイデアはどのように出てくるのですか? また、それをどのように視覚的で感覚的な作品に仕上げていくのですか?
ストーリーボードを使うの。
コメディのプロデュースや脚本やディレクションに興味がある人たちに、アドバイスをお願いします。
コメディアンであるケイト・バーラントの言葉、「恐怖を利用せよ」ね。
コメディにおけるあなたの座右の銘は?
考えすぎたら何もわからなくなる。そしたら笑う以外何ができる?