〈Arts Sisterhood UK〉を通じて、メンタルヘルス上の問題の多くが特定の事がらや経験について話さないこと、もしくはネガティヴな思いや感情を吐露しないことに由来するんだと気づいたの。
アートセラピーには、たくさんの利点があるわ。まず、マインドフルネス(自覚や気づき、覚醒)。制作中の作品を通して自分の感情に触れつつも、頭の中の思いをクリアにし、目の前の問題を注視するの。自分の感情の激しさや感覚についてメモを取ると、ストレスや不安が軽減されるし、自分の中で本当は何が起こっているのかについて理解する助けとなるのよ。もっとも大切な利点は、それまで口にしなかった問題を見つけ出せるくらい自分の中に入り込み、過去を認識し、自分を自分たらしめる過去の経験に気づき、受け入れる助けになるということなの。
自己肯定感を高めるうちに、周りの環境に馴染めなかったら、自分も愛せないのだとわかったわ。
1人のときに自分自身ですらハッピーで気分良くさせられないのに、どうやって他の人と良い関係を築くことができる? 私が本当の意味で自分と自分の仲間を愛し、認め始めたのは、ベルリンでのこと。あの街を1人で訪れ、1人で探検するのが好きなの。クラブに行くのも、ディナーも1人。バーやギャラリー、ショッピングや旅行だって1人で行くわ。あそこは世界で最も寛容な街の1つだと思う。だから、ほかの場所では挑戦できないようなことをしてみるのに最適なの。あの街にいると安らぐし、簡単に人と出会ったり友だちを作ったりできる。いつもくつろいでいるから、ちょっと大胆に振舞おうって気分になるわ。そうやって精神を浄化して、ストレスから解放されるの。そうすれば、現実に戻ってロンドンに帰る心構えもできるのよ。
ロンドンのサウスイーストにあるペッカム地区には、とても素晴らしくて豊かなクリエイターと独立企業のコミュニティがあって、互いを支えているの。
ペッカム地区のクリエイティブなコミュニティには、よく刺激を受けるわ。私のやる気もかき立てられるの。ビジネスや金儲けの経験がほとんどない一般の人が、自らのアイデアを生かして大成功をおさめるのを見てきた。それが、同じことをやってみようという私自身のモチベーションにもなるの。ペッカムにある〈DIY Space for London〉のようなところと仕事をしていると、自分のスキルや経験をコミュニティと分かち合おうという、インクルーシヴ精神のあるコミュニティもしくはボランティアベースのビジネスとの出会いがとてもおもしろかったし、欠かせないものだったわ! そういう人たちはすごく頼りになるし、親切なの。〈Arts Sisterhood UK〉の成功の理由は彼らにあるのよ。
トスカーナ地方の田舎にあるすっごーーーーく高い丘の上にある教会の風景は、息が止まりそうなくらい美しかったわ。
古びたオレンジ色の美しい石があって、歩道はアーチと高い柱で囲まれている。アーチの壁は、ルネサンス期の素晴らしい宗教画で飾られていたわ。その歩道の階段や上り坂を3時間くらい歩いたら、教会に着くの。文字通り息が止まりそうな景色。私みたいな喫煙者には特にね! あの日はすごく暑かったこともあって、空気と水が死ぬほど恋しかったわ。でもその苦しみに見合う価値はあったし、実のところ、この教会は来訪者に苦しみを味わわせるためにこんな場所にあるんじゃないかって思ったわ。本当に巡礼者になったみたいな気分がしたもの。何時間も階段を歩いたあとであの教会に着いたとき、心の底から嬉しかったわ。神は私にトイレと水飲み場与えたもうたって本当に感じるわよ。
コクトー・ツインズとディス・モータル・コイルのリードボーカルを務めたエリザベス・フレイザーは、大好きなミュージシャンの1人。
彼女の声は素晴らしく美しいのに、力強く情熱的でもあるの。彼女が書く詞も好き。言葉と音が一緒になって、すてきな音楽を奏でるの。歌詞はそれ自体を読んだときに必ずしも意味をなすわけじゃないけど、彼女が歌うのを聴いていると、言葉の裏側にある感情や意味がわかってくる。それに、どういう意味で書いたんだろうって考えるのも、それぞれの曲に自分なりの解釈を当てはめてみるのも楽しいわよ。彼女は歌に飾らない裸の感情を込めているから、その音楽にしっかり耳を傾けると、とても力強く感じられて、心が揺さぶられるの。最近、彼女の歌い方や歌詞を模倣したコクトー・ツインズっぽいバンドを見つけたんだけど、うれしくなっちゃったわ。だって、私がぼんやり感じていたものを誰かが模倣というかたちで表現してくれたんだもの。