レディ・スコリー(Lady Skollie)の名で知られるローラ・ウィンドヴォーゲル(Laura Windvogel)は、南アフリカでタブーに果敢に挑むビジュアル・アーティスト。美術史を学んだ後、彼女はパーソナルな体験や興味の視線を水彩画で表現し、批判を見越したパワフルな女性賛美の世界を描いている。コイサン諸族の伝統に影響を受けた鮮やかで遊び心溢れる画風をインクと水彩絵の具、そしてクレヨンで作り出す彼女は、そこに「有色人種の女性としてのアイデンティティ、私のパーソナルな性体験と恋愛の経験、駆け引き、そしてジェンダーの間に生まれる化学反応の記憶」を表現しているのだという。ペインティング作品でも、セクシュアリティや恋愛について彼女が語るポッドキャストでも、レディ・スコリーは一貫して、性とジェンダー、体、そしてそれらを取り巻くテーマを、まばゆいほどの誠実さをもって表現している。
レディ・スコリーの個展『Lust Politics』は、ロンドンのギャラリーTyburn Galleryにて1月19日より公開予定だ。
既存のアート界には居場所を見つけることができなかった。だから自らニッチな世界を作り出した。
ケープタウン大学の美術専門学校ミカエリ(Michaeli)で美術を専攻していましたが、3年生のときに美術史とオランダ文学に専攻を変えて卒業しました。その頃、セックスをテーマにしたパーティやラジオ番組に出会ったことが、現在ある私の水彩画の世界観を形成したのだと今になって実感しています。
初めて自分を表現したいという衝動を感じたのは、『快傑ゾロ』をベースにした映画シリーズが南アフリカで大人気を博していた時代——レディ・スコリーが4歳のときのことだった。
テーブルやベッドの裏、食器棚の中などに、クレヨンでさまざまなサイズの「Z」を書いて回って、それが母に見つかるんじゃないかと恐怖に震えていた記憶があります。
現在住んでいるヨハネスブルグという街は、ひとに夢を実現するよう背中を押してくれる。
ブレーキが効かない車に乗せられるような感覚——あるギャラリストは、私について、「ローラはいつでも戦略的なプレッシャーを必要としているアーティスト」と言っていました。
私に深く訴えかける作品を作るアーティストが3人いる。
わざとらしくないやり方で、見る者を自身の世界へと引き込む能力を持ったアティ・パトラ・ルーガ(Athi Patra Ruga)、世界に衝撃を与えるそのさまがなんとも美しいロバート・メープルソープ(Robert Mapplethorpe)、そしてアイデンティティの輝きを捉える天才的な才能を持ったメアリー・シバンデ(Mary Sibande)。
ケープタウンのウォルマー・エステート地区が、私にとってもっとも特別な意味を持つ場所
アパルトヘイト前の1950年代から1960年代にかけて、そこに暮らしていたひとびとを政府が不法に排除した地区で、元は「6区」と呼ばれていた地域です。そのウォルマー・エステートにあった、古く、朽ちた家に2年ほど暮らしたんですが、そここそは私がパートナーと初めて持った愛の巣だったんです。私の親族の多くがケープタウンから強制退去をさせられたという過去もあり、またそここそは私が人に恋をした場所だということもあり、ウォルマー・エステートはこれからもずっと私の心の中に淡く温かい特別な意味を持って存在し続けるでしょう。