ロンドンのスタジオStudio Ashbyでディレクターを務めるソフィー。子供のころにロンドンから南アフリカのケープタウンへと引っ越し、イギリスのデヴォンに戻ってきたかと思えばポルトガルへと移住するなど、多感な時期に国境を越えて転々と環境を変えながら育った。様々な環境の中で経験したさまざまなカルチャーからインスピレーションを得て作られた彼女のデザイン世界は独特だ。その唯一無二の世界観は、「慣れ親しんだ土地から新たな土地へと住環境を移す際、古い家財が新しい家に『わたしの場所』という感覚を生んでくれる」という、ソフィーが若くして肌で学んだ体験が作り出しているのかもしれない。ソフィーが作り出す作品には、「家」の基本である「自分の場所の心地よさ」が満ち、極めてソウルフルな世界が広がっている。
劇場ライシアム・シアターは、私にとってもっとも特別な場所
私のボーイフレンド、チャーリーに初めて会ったのがライシアム・シアターだったんです。ブラインド・デートだったんですが、彼の素敵な顔を初めて見た瞬間、めまいにも似た感覚に襲われたのを覚えています。すべてが始まったあの瞬間を、私は一生忘れません。
松、そして糸杉の香りが好き
子供の頃に住んだ家にはすべて、松の木が植わった庭がありました。今でも松の木の香りが鼻をくすぐるたびに、昔暮らした南アフリカの山あいやポルトガルにある両親の家へ瞬時にして戻ってしまったような錯覚に陥ります。
心地よさと喜びを作り出すには、すべての感覚を刺激しなくてはならないのだと思う
最近、Studio Ashbyでホテルの内装デザインを手掛けたんですが、そこで五感というものについて深く考えました。DJとプレイリストを作り、香水のクリエーターとオリジナルの香りを作り、レストラン・メニューを作り、そこに毎朝漂い廊下を満たすであろう焼きたてのパンの香りについて考え、インテリアに使うモヘアやウール、ベルベットの感触についても深く考えました。
もしも時空を旅することができるなら、1960年代に行ってみたい
60年代にひとびとが経験したであろう「新しい」と「ショッキング」という感覚を、私も直に体験してみたいです。きっと、自由で、鮮やかながらもスモーキーなテクニカラーの世界で、エキサイティングで、希望に溢れた時代だったにちがいないと思うのです。
自然への畏敬ほどパワフルな感覚はない
自然の美しさだけでなく、自然が持つ力を感じ、この目で見るということ——風の音、波の音、鳥がなく声など、浜辺にある音を聞いていると、自然の大きさを感じると同時に、自分の小ささを思い知らされます。自然の大きさの中で、私などは小さな小さな点でしかないのだな、と。