Ta-Haというフランス語ラップ界の新星を、あなたは知っているだろうか? 子供の頃、Ta-Haはアニメやディズニー映画に登場するパワフルでカラフルなヒロインたちに力づけられ、インスピレーションを得て育ったのだという。しかし、インスピレーションこそ架空の世界から得て育ったものの、彼女がいま書くメロディは現実世界に向けて書いているものだ。ラップと官能的なR&Bが織りなすその多次元的な音世界は、東京とロンドン、そしてフランスを行き来する彼女の生活から生まれている。最新ダブルEP『X-RayZ』と『SunrayZ』のリリースを目前に控えた我らがセーラームーン、Ta-Haに、彼女がこれまで五感で受けた刺激について訊いた。
ディズニー映画に登場するヒロインたちを観て、夢を諦めない強い心を学んだ。
幼い頃から自分のことは自分でやれると自分に証明するように生きてきました——ディズニー映画に出てくるヒロインたちみたいにね。結局わたしは戦士なんだと思います。これまでずっと、自分が信じるもののために戦い、努力を重ねてきました。ある時、「子どもの頃に観ていた映画のベタなストーリーは、決してファンタジーの世界のみの話なんかじゃないんだ」と気付きました。ただ、大きな難しい言葉に置き換えられて語られる傾向にあるだけで、現実の世界にも存在するものなんだとね。
『セーラームーン』や『アニメ秘密の花園』を見ると、子どもの頃の思い出が鮮明に蘇る。
リビングのソファに座って、テレビ画面にかじりつくようにそれらアニメ番組を観た感覚を思い出します。アニメ番組のシーンを見ると子ども時代の思い出すのと同様に、特定の香りを嗅ぐと母を思い出します。視覚も嗅覚も、とても繊細な力を発揮して私を動かすもの。
いとこや叔父、叔母の家に遊びに行くと、いつでもそこには音やメロディが満ちていた。
ファンクやレゲエを聴いて育ちました。子どもの頃は、『ロミオとジュリエット』をはじめ多くのミュージカルに出演したりしていました。私が作る音楽は、私が持つ記憶や思い出のミックスなのだと思います。超常的に響くかもしれませんが、私の音楽は、私が世界に向ける視線を如実に反映しているんです。
恋に落ちたことで自分自身をより深く知ることができた。
当時私は日本に暮らしていました。恋をしてるんだと気付いたときは天地がひっくり返ったように感じました。あれが大人になった瞬間だったのだと思います。また、多くの子供と接する機会を通じて、私は「大人になる」ということの多くを学んだ気がします。
誰か尊敬するひととディナーの席をともにすることができるなら、発明家のニコラ・テスラを選ぶ。
もう亡くなっているから叶わないことですが、生きてディナーを共にできるとしたら是非とも彼が「現代」についてどう思うか訊いてみたいです。誰とでも繋がることができるのに、ひととの距離がこれまでになく遠く感じられる現代という、不思議な世界について。