花の蕾から咲いて朽ちる姿が女性に思えて、とても綺麗な状態のときを虫や動物にしか見られず散っていくのはなんだか切ない。赤を赤と認識するのは人間の目で、虫や動物は見えない色があることや、花を食べ物としてしか見ていないので、花からしても子孫繁栄の生きる道具として使っている。その関係性も自然の摂理で興味深いけれど、花びらの縁のひらひらとした部分や、しっとりした質感が光に当たるとキラキラと輝く特性、雌しべと雄しべの形状や花粉を出すタイミング、咲き始めと終わりの香りの変化など、女性のセンシュアルな魅力と重なり、妄想してしまう。色んなシーンに姿形を変えて散るまでのほんの刹那を、よりたくさんの人に見てもらいたいと言う思いから、この仕事の必要性を感じ、続けて行こうと決めている。
Rose・ジル
左下の白い5弁の一重咲きバラ。”ジル”とは妖精の名前らしい。
小ぶりでピュアでナチュラルな少女のようなイメージ。
庭から摘んできたような、野の草やハーブや小花と一緒に花束にするのが似合う。時には正反対なお花とも合わせるのも好みだ。
Rose・ルール マジック
このバラは、何と言っても香りが素晴らしい。大人っぽく魅力的な香りを放つから、どこにいても存在感がある。
幻想的なピンク色をしていて、凛として気品があるけどどこか謎めいている女性を思わせる。
言葉が話せたらなんて話すだろう。一輪でプレゼントしたい。
Rose・シュエルヴァーズ
なんとも言えない曖昧な色が魅力な美しいバラ。香りはそんなにないけれど、とてもアンニュイな雰囲気を漂わせていて、花束にいれると一際目立ってしまう存在感。
女性に例えると儚さと曖昧さをもった魔性の女性。
私がとても気になる存在。
Rose・アンダルシア
バラに思えない波打つ赤の花びらは、スペインのフラメンコダンサーのようで咲き方がとてもゴージャス。とても個性的なのに、他の花たちと一緒にアレンジしてもバランスが良くまとまるから不思議。市場に出ていると必ず買ってしまう。
その場をパッと明るくしてくれる、情熱的な女性を彷彿とさせる。
濃いブルーとの相性がよく、いろんな国々の様々な花と一緒に花束にしたい。
Rose・イエライシャン
イエライシャンと言えば、ガガイモ科のテロスマと言う蔓性の植物も同じ名前である。イエライシャンは“夜来香”と書き、字の如く、夜に強い香りを放つ。
色は薄い藤色でとても控えめだけど大胆な女性がイメージだ。
花束ではたくさんの種類を入れるより、シンプルに一種類だけを束ねたい。
篠崎恵美(Megumi Shinozaki)/フラワークリエイター。独自の感性で花の可能性を見つけ、植物とさまざまなアイテムを使い、依頼されるイメージを独創的に表現する。アーティストとのコラボレーションや、ディスプレイの装飾などを手がける。2015年より、週末だけオープンするフラワーショップ「edenworks bedroom」を代々木上原に構える。