フラワークリエイター篠崎恵美が薔薇に重ねる5つの女性像

女性を表すことばとして、「花」を用いることがある。花がもつ美しさや醸し出す香りは、女性が秘める魅力に重なる。「edenworks」の篠崎恵美が選ぶ、5つの薔薇とそれらが彷彿させる女性像を紹介。

花の蕾から咲いて朽ちる姿が女性に思えて、とても綺麗な状態のときを虫や動物にしか見られず散っていくのはなんだか切ない。赤を赤と認識するのは人間の目で、虫や動物は見えない色があることや、花を食べ物としてしか見ていないので、花からしても子孫繁栄の生きる道具として使っている。その関係性も自然の摂理で興味深いけれど、花びらの縁のひらひらとした部分や、しっとりした質感が光に当たるとキラキラと輝く特性、雌しべと雄しべの形状や花粉を出すタイミング、咲き始めと終わりの香りの変化など、女性のセンシュアルな魅力と重なり、妄想してしまう。色んなシーンに姿形を変えて散るまでのほんの刹那を、よりたくさんの人に見てもらいたいと言う思いから、この仕事の必要性を感じ、続けて行こうと決めている。

1

Rose・ジル

左下の白い5弁の一重咲きバラ。”ジル”とは妖精の名前らしい。

小ぶりでピュアでナチュラルな少女のようなイメージ。

庭から摘んできたような、野の草やハーブや小花と一緒に花束にするのが似合う。時には正反対なお花とも合わせるのも好みだ。

2

Rose・ルール マジック

このバラは、何と言っても香りが素晴らしい。大人っぽく魅力的な香りを放つから、どこにいても存在感がある。

幻想的なピンク色をしていて、凛として気品があるけどどこか謎めいている女性を思わせる。

言葉が話せたらなんて話すだろう。一輪でプレゼントしたい。

3

Rose・シュエルヴァーズ

なんとも言えない曖昧な色が魅力な美しいバラ。香りはそんなにないけれど、とてもアンニュイな雰囲気を漂わせていて、花束にいれると一際目立ってしまう存在感。

女性に例えると儚さと曖昧さをもった魔性の女性。

私がとても気になる存在。

4

Rose・アンダルシア

バラに思えない波打つ赤の花びらは、スペインのフラメンコダンサーのようで咲き方がとてもゴージャス。とても個性的なのに、他の花たちと一緒にアレンジしてもバランスが良くまとまるから不思議。市場に出ていると必ず買ってしまう。

その場をパッと明るくしてくれる、情熱的な女性を彷彿とさせる。

濃いブルーとの相性がよく、いろんな国々の様々な花と一緒に花束にしたい。

5

Rose・イエライシャン

イエライシャンと言えば、ガガイモ科のテロスマと言う蔓性の植物も同じ名前である。イエライシャンは“夜来香”と書き、字の如く、夜に強い香りを放つ。

色は薄い藤色でとても控えめだけど大胆な女性がイメージだ。

花束ではたくさんの種類を入れるより、シンプルに一種類だけを束ねたい。

篠崎恵美(Megumi Shinozaki)/フラワークリエイター。独自の感性で花の可能性を見つけ、植物とさまざまなアイテムを使い、依頼されるイメージを独創的に表現する。アーティストとのコラボレーションや、ディスプレイの装飾などを手がける。2015年より、週末だけオープンするフラワーショップ「edenworks bedroom」を代々木上原に構える。

This Week

和洋新旧の混交から生まれる、妖艶さを纏った津野青嵐のヘッドピース

アーティスト・津野青嵐のヘッドピースは、彼女が影響を受けてきた様々な要素が絡み合う、ひと言では言い表せないカオティックな複雑さを孕んでいる。何をどう解釈し作品に落とし込むのか。謎に包まれた彼女の魅力を紐解く。

Read More

小説家を構成する感覚の記憶と言葉。村田沙耶香の小説作法

2003年のデビュー作「授乳」から、2016年の芥川賞受賞作『コンビニ人間』にいたるまで、視覚、触覚、聴覚など人間の五感を丹念に書き続けている村田沙耶香。その創作の源にある「記憶」と、作品世界を生み出す「言葉」について、小説家が語る。

Read More

ヴォーカリストPhewによる、声・電子・未来

1979年のデビュー以降、ポスト・パンクの“クイーン”として国内外のアンダーグランドな音楽界に多大な影響を与えてきたPhewのキャリアや進化し続ける音表現について迫った。

Read More

川内倫子が写す神秘に満ち溢れた日常

写真家・川内倫子の進化は止まらない。最新写真集「Halo」が発売開始されたばかりだが、すでに「新しい方向が見えてきた」と話す。そんな彼女の写真のルーツとその新境地を紐解く。

Read More

動画『Making Movement』の舞台裏にあるもの

バレリーナの飯島望未をはじめ、コレオグラファーのホリー・ブレイキー、アヤ・サトウ、プロジェクト・オーらダンス界の実力者たちがその才能を結集してつくり上げた『Five Paradoxes』。その舞台裏をとらえたのが、映画監督アゴスティーナ・ガルヴェスの『Making Movement』だ。

Read More

アーティスト・できやよい、極彩色の世界を構成する5つの要素

指先につけた絵の具で彩色するフィンガープリントという独特の手法を用いて、極彩色の感覚世界を超細密タッチで創り出すアーティスト・できやよい。彼女の作品のカラフルで狂気的な世界観を構成する5つの要素から、クリエーション誕生の起源を知る。

Read More

ハーレー・ウェアーの旅の舞台裏

写真家ハーレー・ウィアー(Harley Weir)が世界5カ国に生きる5人の女性を捉えた旅の裏側、そして、ドキュメンタリー映像作家チェルシー・マクマレン(Chelsea McMullen)が現代を象徴するクリエイターたちを捉えた『Making Images』制作の裏側を見てみよう。

Read More

『Making Codes』が描くクリエイティヴな舞台裏

ライザ・マンデラップの映像作品『Making Codes』は、デジタルアーティストでありクリエイティヴ・ディレクターでもあるルーシー・ハードキャッスルの作品『Intangible Matter』の舞台裏をひも解いたものだ。その作品には、プロデューサーとしてファティマ・アル・カディリが参加しているほか、アーティストのクリス・リーなど多くの有名デジタルアーティストが関わっている。

Read More

ローラ・マーリンが表現する、今“見る”べき音楽

イギリス人のミュージシャン、ローラ・マーリンのニューアルバムに満ちている“ロマンス”。男っぽさがほとんど感じられないその作品は、女性として現代を生きることへの喜びを表現している。

Read More
loading...