平田春果が選ぶ女性アーティストのニュー・レコード5枚

今の音楽シーンの先陣を切り、新しいカルチャーを発信する原宿のレコード店『Big Love』。ショップを運営する平田春果がセレクトするのは、音はもちろん、ファッションやアートの観点からも独特なセンスが光る女性アーティストのニュー・レコード5枚。

1

SAPPHIRE SLOWS “The Role Of Purity” (Nous Disques)

若き東京代表音楽プロデューサー兼DJ。圧倒的にグローバルな音、目線、角度は唯一無二。海外レーベルからのリリースを基本とし、定期的な海外ツアー、欠かさない新譜レコード収集そしてDJプレイに注目している。そのルーティーンから生まれるアンビエント~エレクトロ~エクスペリメンタル~ポップ、あらゆるサウンドを自在に操り吐き出す彼女の力強さは、世界を目指す女性たちを常に鼓舞し続ける特別な存在。

@sapphireslows

2

NV “Binasu” LP (MIND Records)

ファッション、アートなど、あらゆる分野においてロシアカルチャーが台頭しているが、ミュージックシーンでもそれは顕著に現れている。NVことKate Shilonosovaもそれに代表する一人。大好きだという電車内でゲリラ撮影したユニークなMVでは白いTシャツにイエローのインナー、ブルーのサロペット、ピンクのソックスに白スニーカーと、シンプルながら細かなオシャレのヒントも与えてくれる。ロシアの荒涼さの薄まったポップさも◎。

@NV

3

SKY H1 “MOTION” (CODES)

ベルギーの音楽プロデューサー。トランス~グライム~エレクトロニックを自在に行き来する緩急自在なサウンド。このジャンルの女性プロデューサーでここまでの完成度はとても貴重。自身のスタイルも、ハイポニーに、シースルーのトップス、薄いメイクながらアイシャドウを金のグリッターでポイントにしていて、真似したくなるほどおしゃれ。朝昼晩、いつでもきゅっと気合を入れたい時に聴く。

4

KELLY LEE OWENS “Kelly Lee Owens” (Smalltown Supersound)

UKのプロデューサー。ロンドンのRough TradeやSister Rayなどのレコードショップでバイトしていた筋金入りのレコードラバー。アーサー・ラッセルへ捧げた楽曲「Arthur」はファッションショーでのランウェイミュージックとしても注目された。ロンドンガール気分のヴィンテージクローズにブーツをレイヤーして、曇り空と同化したい気分の日に聴きたいテクノ〜ドリーム〜ポップ。

@Kelly Lee Owens

5

ODWALLA88 “Fawns Are Dirty/Purr Hi” (Thunderzone)

LA在住のクロエ・マラッタとフラネリー・シルヴァからなるデュオ。言葉、音のコラージュ、サンプリング、電子ドラム……それらを継ぎ接ぎループさせていく独特のサウンドは音楽でありアート。自身のファッションにもそれは現れており、Tシャツのカスタムは当たり前、首にはラッピングのリボンをさりげなく巻いたりと、美学が統一されている。その独特のスタイルに、世界的ストリートブランドからもラブコールを受け、彼女たちデザインのコラボTシャツをリリースするほど。音的にとっつきやすくはないけれど、間違いなくここから新しいものが生まれている。

@chloe_elizabeth @whisperpinky

平田春果/アーティスト、キュレーター、翻訳家。1981年生東京、ギリシャ育ち。原宿で輸入レコード店『Big Love』を運営。zine作家、歌詞対訳をメインに翻訳家として、またギャラリースペースのキュレーター、イベントコーディネーターとしてマルチに活躍。LAと東京のアーティストの友人たちと共にファッションブランドも立ち上げた。

@haruka_biglove

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