ジャブー・ナディア・ニューマン(Jabu Nadia Newman)が写真や映像をつくりたいという欲求にかられる理由は、その子供時代にあるという。写真がアートの一形態であることを理解し始めたのは、ブリトニー・スピアーズ(Britney Spears)やスパイス・ガールズ(the Spice Girls)が表紙を飾る雑誌を子供のころに読んだことがきっかけだった。物議をかもすデリケートな問題を映画にしたいという思いは、性というテーマをポジティヴかつカジュアルに扱ったラリー・クラーク(Larry Clark)の『KIDS/キッズ』を両親にすすめられて観た12歳のときに芽生えたそうだ。映画を学びの道具としてとらえるようになったのも、同じころだという。映画と写真の双方を通じ、メディアから見落とされたさまざまなものに光を当て、最終的には、観客それぞれが身近に感じられるものに仕上げるというのが、22歳になったジャブーの目標だ。
彼女の写真および映像作品、そしてウェブシリーズ〈The Foxy Five〉で多く取り上げられ、表現されるテーマは、フェミニズム、セクシュアリティ、そして政治の3つ。〈The Foxy Five〉は、5名の女性の話が交差する、南アフリカ流のフェミニスト番組だ。ジャブーがこれを書き始めたのは、高騰し続ける南アフリカ国内の教育費に対して行われた2015年のデモのさなか。番組はのちに、南アフリカの女性が話題にしているトピックを集めたアーカイヴに加えられた。「政治がとても身近であることや、南アフリカの若者がどんなに無関心であるかということを伝えたかったの」。ジャブーは番組について、そう話す。「黒人の女性たちに、彼女たち自身の見方でフェミニズムを理解してほしかったの。だから、誠実かつ正確に私たちの姿を描き出そうとしたわ」。政治や不正に対する絶望と落胆から、この番組を書き始めたジャブー。セクシュアリティ、ジェンダー、人種、階級や政治などに関するコンセプトやアイデアを練り上げるうちに、そうした感情は、いつしか彼女自身やほかの女性たちの物語をシェアすることへの情熱や力に変わっていった。
驚くにはあたらないが、ジャブーの目標は高い。「この世界に痕跡を残したくてたまらないの。影響を与えたいのよ。変革の火つけ役となることもいとわないわ。あえて語られてこなかった問題を、むしろ書きたいように書いて表現することで、足跡を残したい。自分が居心地悪くなるくらい赤裸々に書くため、そして自分の奥底に眠る黒い秘密をシェアしてほかの人の心を癒すためになら、物事に深く分け入り、自らの弱みをさらけ出してかまわない」。彼女自身がそう望まぬ限り、この優れた女性が今までになし得たことが世の関心を引かないなどということはなさそうだ。