動画『Making Movement』の舞台裏にあるもの

バレリーナの飯島望未をはじめ、コレオグラファーのホリー・ブレイキー、アヤ・サトウ、プロジェクト・オーらダンス界の実力者たちがその才能を結集してつくり上げた『Five Paradoxes』。その舞台裏をとらえたのが、映画監督アゴスティーナ・ガルヴェスの『Making Movement』だ。

アルゼンチン出身の映画監督アゴスティーナ・カルヴェス(Agostina Galvez)の作品『Making Movement』に映し出されるのは、The Fifth Senseのために撮り下ろされた『Five Paradoxes』の舞台裏だ。ホリー・ブレイキー(Holly Blakey)、アヤ・サトウ(Aya Sato)、そしてプロジェクト・オーの名でデュオとして活動するジャミラ・ジョンソン=スモール(Jamila Johnson-Small)とアレキサンドリーナ・ヘムズリー(Alexandrina Hemsley)といったトップ女性コレオグラファーたちの視点から、ダンスの世界をとらえている。そのメソッド、そしてその身体から空間をつくり上げる様は、動きの面でも形式的にも、ひとりひとり異なるのだ。

子供のころ、すごく姿勢が悪かったの。母も同じだったから、それを直すために私にバレエを習わせたのよ。私ってすごく負けず嫌いだから、バレエをしていても、何かできないことがあるとすごくイライラしたわ。で、そのうち、今にみてろ!って感じになるの。この作品のコンセプトは、私たちみんなが持ってる二面性ーー強い部分と弱い部分ーー、そしてその2つが心の中でどう葛藤するかということ。そのパラドックスをダンスで表現しているの。人生でもダンスでも、私は自分の直感に従う。そうすることで、感じるままに生きるのよ。ダンスも同じ。ぜんぶ自分がやりたいようにやるの。
ダンスをすることで、本来の自分になるような気がするわ。このアートは私にとってとても大切なもの。いつもダンスをしたいって思ってたわ。これほど打ち込める何かがあれば、それは何にでもなる。自分なりにやっていける道を見つけることができるはずよ。私も自分自身に心の底から正直になることで、そういう道を見つけられたんだと思う。真実が入った小さな箱を開けながら考えていくうちに、動きという表現を見つけたの。自分自身の本質的な部分に対する答えを得たと感じたわ。たぶんこれが、自分自身に正直になるってことなのかも。ダンスが難しくて、でも美しいのは、身体、心、そしてもちろん表現がすべてだから。私にとってダンスとは、動きをつくり出すために、感覚的に身体と向き合うことなの。
動きの表現を高めることにこだわったわけじゃないと思う。それより、構成をどう描き出し、伝えていくかということの方が重要だったわ。動きを一緒に構造化したあと、それぞれの動きを練習するの。そうするとヒントを得ることができたり、自分たちがつくり出そうとしていた空間や、プロジェクト・オー自体をかたちづくるものになったりするのよ。
母親がバレリーナだったから、バレエがどんなものかはわかっていたわ。でも、ダンスみたいなことをしたいとはそんなに思ってなかった。高校でダンスを始めるまでは。踊っているときは、誰か特定の人物を頭の中に思い描くことはないわ。ただ踊りたいの。私はダンサーだし、音楽に合わせて踊れば、誰でもダンサーになれると思う。ルールなんてないもの。なんでもしたいことができる。だって、私はずっとそうやってきたもの。今もね。

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