ソウルフルな声を持つビショップ・ブリッグス、本名サラ・グレース・マクローリンは、LAを拠点とする24歳のシンガーソングライターだ。ロンドンで生まれ、4歳のときに日本へ渡り、その後10歳で香港に移住。ローティーンまでをそこで過ごしてきた。彼女のインターナショナルな気質は、まさにその来歴から来るものだろう。彼女が人生を通じて情熱を捧げてきたソングライティングとパフォーマンスの一番の原動力は、家族。芸名も、両親の故郷であるスコットランドの町からとっているほどである。たった4曲をリリースしたばかりでコールドプレイの前座を務めたビショップ・ブリッグスは、どうやら順調にキャリアを積み上げているようだ。自身の記憶をキャッチーでソウルフルなポップバラードに昇華することができる彼女は、思いを音楽で伝える感覚と自信を持ち合わせた、直感的なスターなのである。
あなたの曲には力強さとともに、繊細さも見受けられます。特に「River」にはそれが顕著に表れていますね。この2つの感覚はあなたにとってどういうものですか?
毎日その2つの感覚の間で戦っているような気がするの。いろんな視点を持つべきだと思うし、強さの中にみなぎる力は繊細さでもあり、繊細さの力の源は強さだと学んだわ。ソングライティングとパフォーマンスに関して言えば、自分の歌を歌っている間は私がある程度の強さを持っていることがわかると思う。でも歌い終わった瞬間、いつも通りすごく繊細になるのが見て取れるんじゃないかしら。ただ元のテンションに戻るというだけじゃなくて、その曲を書いたときのことや、意味を思い出したりしているの。
曲を書く前、そんなふうに自分の感情を持っていくための最良の方法は?
誰もいないときに自分の内面としっかり向き合うこともせず、自分らしくいようともせずに曲を書くなんて、私には無理なの。7歳のころから曲を書いているけど、メロディをつくったり、本格的に取り組み始めたりしたのは、6年前にLAに来てからのことよ。高校時代もやっていたけど、最初にライブパフォーマンスをしたのはLA。新しい経験だったわ。
「The Way I Do」は霊能者との体験を踏まえて書かれたものですよね。詳しくお話ししていただけます?
いいわ。LAの霊能者のところに行ったの。音楽をやってる女友達と一緒だったんだけど、霊能者はその子のほうを向いてこう言ったわ。「音楽をやめようと思ってるわね」。出ていくときに、私、友達のほうを見て「おかしいわね、あなたが音楽をやめたいなんて!」と話しかけたのよ。そしたら、彼女は実際にそういうふうに考えていたって言うじゃない。こういう分野では、みんなに一体感があるというか、浮き沈みを同時に味わっちゃうというか、そういう感じがあると思う。サポートチームのようなものかしら。だから、彼女がそんなことを言ったとき、私は思ったの。もし今やめてしまったら、どれくらい成功するかも、それまでにどれだけ苦労するかもわからないじゃないって。
どのくらい直感が働きますか?
けっこう働く方だと思うわ。常にそれに頼っているくらい。ライブの前は、いつも瞑想するの。そうすると、すごく精神統一できるのよ。人生において、クリアな思考を持つことはとても大事だと思うわ。
歌詞は実際の出来事について書かれたものですか? それとも想像?
潜在意識からかなあ。けっこう夢をもとに書くことが多いのよ。だから想像の産物だということもできるけど、究極的には、私の実体験をベースにした想像の産物ということになるんじゃないかと思う。
夢からインスピレーションを受けたことはありますか?
高い木の上に乗っかった癒しのタネを取ろうとして届かないっていう夢を見たことがあるの。すっごくイライラして。「The Way I Do」の中に「あなたに手を伸ばす、あなたに手を伸ばす」っていう歌詞があるんだけど、その夢のことよ。
ライブの前にする習慣やゲン担ぎはありますか?
白色灯を見ると自信がわくの。そうすると、目をつむったときに白色灯の残像が見えるでしょう。それがすごくポジティヴな気がして。瞑想に関連してるんだと思うけど、それが見えるたびに心地よくなるのよ。ステージに上がる前には瞑想するわ、すみっこに座って(笑)。ラヴェンダーの香りのスプレーをして、深呼吸するの。ラヴェンダーには強いリラックス効果があって、体全体から力を抜いてくれるのよ。
ご自身の音楽を通して伝えたいことは?
私のライブに来た人が、帰るときに自分もなにか書いてみたいと思ってくれたらと思う。みんなが心を平安にする時間を持てたら、世界はもっとハッピーになるんじゃないかな。それと反抗心。人であれ記憶であれ世の本質であれ、足を引っ張るものに抗うの。自分の可能性を、今までの常識をひっくり返すのよ。