イマン・ペレーズ(Iman Pérez)のキャリアスタートは12歳。母(女優のカリーヌ・シラ・ペレーズ)の処女監督作品『Un Baiser Papillon』に出演したときだ。その後すぐに事務所と契約し、モデルとしてのキャリアを歩み始める。ヴァンサン・ペレーズの娘であり、リュック・ベッソンの姪でもあるティーンエイジャーの彼女。モデル活動のかたわら、ヨーロッパ乗馬チャンピオンシップのフランス代表選手としても活躍し、2020年東京オリンピック出場を目指している。
モデルの世界で尊敬しているのは誰ですか?
偏見やタブーを乗り越え、黒人モデルとして成功したジャーダン・ダンの偉業を私も踏襲したいわ。この業界は、実社会を完全に反映してると思う。成功するために、黒人女性は白人女性よりたくさん努力しなきゃいけないの。配慮と戦う必要があるのよ。2017年になった今でも、この業界で自分に見合った立場を手にするために、黒人女性がすべきことはまだたくさんある。私が挑んでいきたいのもそういう部分。タイラ・バンクスが切り拓いた道は、私にとって強い刺激になったわ。彼女はモデルでもありながらビジネスウーマンでもあって、その強い信念が彼女を今の地位に押し上げたのよ。すごく影響されたわ。
あなたはプロの乗馬選手としても活躍していますよね。乗馬をしているときはどんな気分ですか?
5歳から習っていて、ずっと情熱を傾けているのが乗馬なの。7歳のときには、障害馬術競技の大会に出ていたのよ。今は、元フランス代表チームのコーチ、ジャン=モーリス・ボノー(Jean-Maurice Bonneau)の指導を受けているの。友達と私に目をかけてくれて、ヨーロッパチャンピオンシップのためにコーチするようになったのよ。私、アドレナリンやスピード、予想できないことが大好物だから。乗馬は体と動きを使い、自信を必要とするある種の言語よ。馬をコントロールするのに言葉は使えない。代わりにエネルギーとパワーを使うの。乗馬で一番好きなのは、自分自身を解き放つことができて、何もかも忘れられるところ。馬に乗っているときはチャンスをものにすることしか頭にないわ。すべてが突然起こるから。
それは直感を活用するということですか?
重要なのは自信だと思うわ。自分自身と乗る馬の強さね。常に予期できないことがつきまとうから。長年の経験があっても、馬が何を考えているのかはいまだ計り知れないわ。何が起こるか予想するのは難しいの。これは人生においてほかのたくさんのことにも言えると思うけど、重要なのは絆を感じること、そしてコミュニケーションよ。直感もとても大切だけどね。
感覚のままに動くことはできますか?
そう、ときどきはね。馬に乗ると、違う世界に行ってみたくなるの。郊外やイヴリーヌ(パリ近郊)とか。小さい頃から、週末のたびにそこに行くのよ。いつも同じ芝や麦わらの香りが、私の心を鎮めて整理してくれる。ずっと香りフェチで、子供の頃からいろいろ集めてるの。香水は30本くらい家にあるんじゃないかしら! 何にでもふりかけるのよ。もう習慣になっちゃって、ベッドや髪、引き出し、ホントにありとあらゆるものに使っちゃう。香りに包まれていたいのね。バラの香水なしじゃ生きていけないわ。
よく旅をしたり環境を変えたりするようですが、あなた自身はすごく地に足がついているように見えます。この世界でお気に入りの場所といえばどこですか?
パリにはずっと恋してるわ。飽きることなく長い時間過ごせる、お気に入りの場所がいくつかあるの。コーチの妹で、フランスの障害馬術競技チャンピオンでもあるココ・クーペリ―=エッフェル(Coco Coupérie-Eiffel)がオーナーをしている〈カフェ・ドロム〉は、私の聖地よ。テラス席から見下ろすパリの景色が素晴らしいの。ほかには〈カレット〉ね。ミーティングや打ち合わせはだいたいそこでするの。パリは刺激あふれる街よ。建物のディテールや建築様式を眺めながら、何時間だって歩き回れるわ。パリを離れることなんてできそうにない。
若干17歳にして、高名なフォトグラファーたちの被写体になっていますよね。カメラの前に立つのは心地良いですか?
ええ、母はモデルで父は俳優だから、いつもカメラのレンズに取り囲まれていたもの。モデルとしてのキャリアを花開かせ、その道を歩むことに自信を持たせてくれたのはピーター・リンドバーグよ。一緒に仕事をする機会があったんだけど、彼のおかげですぐに打ち解けられたわ。私は若いけど、すごく業界向きだって言ってくれたの。世界最高のフォトグラファーの1人からこんな賛辞を贈られたら、それはホントってことよね。
ご家族は映画業界で活躍していますね。好きな映画とその理由を教えてください。
間違いなく『ティファニーで朝食を』ね! オードリー・ヘプバーンは、強さと品位という私が考える女性の素晴らしさを体現しているわ。彼女のしたことや出た映画、歌、それにファッションのすべてが頭にあるの。彼女に関する本はすべて読んだし、ドキュメンタリーもすべて観たもの。
以前、学校が大嫌いだと話してくれましたよね。せっかちだったのでしょうか。
私は独立心が旺盛だし、ちょっと多動っぽいところもあるの。先生が授業をしているあいだ、教室の決まった場所にじっとしていなきゃいけないのは、すごく苦痛だったわ。子供時代はスポーツにのめり込んでた。ダンスやスイミング、体操もしていたわ。でも練習のあとも、エネルギーがたっぷり残っていたのよ! 私にとって学校は監獄みたいなところだったわ。そこは自分の居場所じゃないっていつも感じてた。でも通信教育を使って、学位は取りたいと思っているわ。
大人といるほうが居心地がよいですか?
大人といるほうが居心地いいし、自然な自分でいられるとずっと感じてきたわ。よく考えてみると、同年代の友達って多くないのよ。ほとんどの友達が20代から30代のあいだくらい。乗馬関連の友達が多いわね。チームメイトのマリーは親友の1人。年が10歳も離れていることを考えると、美しい友情よね! ほかの人と情熱を分かち合えるのが乗馬なの。いろいろなタイプと年代の人をひきつけるわ。そこから、かたい友情や出会いが生まれるの。