志賀理江子 ブラインドデート
写真を通して自身と社会が交差する接点に生じる“イメージ”の探求を続ける写真家・志賀理江子の5年ぶりとなる大規模な展覧会が、香川県の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開催される。本展では、2009年にバンコクの恋人たちを撮影したシリーズ「ブラインドデート」を始まりとして、「弔い」「人間の始まり」「大きな資本」「死」などをめぐる考察と物語が綴られていく。出展作品は、写真プリントの他に約20台のスライドプロジェクターよってインスタレーションを構成。会場に置かれたプロジェクターの点滅は、生、暗闇と光、この世界に相反しながら同時に存在する物事の隠喩でもある。肉眼で見えないものとは何か?その領域をこそ写し出す写真というメディアに懸ける志賀が、創作し続けてきた作品群は、人間の生と密接に絡み合う濃密で圧倒的な写真空間を作り上げる。
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館( http://www.mimoca.org/ja/exhibitions/2017/06/10/1505/ )/6月10日(土)〜9月3日(日)/10:00〜18:00 ※入館は17:30まで/入場料:一般 950円、大学生 650円、高校生以下または18歳未満 無料/Photo:志賀理江子 <ブラインドデート> 2009年 ⒸLieko Shiga/詳細はWEB
映画『ザ・ダンサー』
19世紀末、パリ・オペラ座のステージに立った1人のダンサーは、かつて誰も見たことのなかった幻想的なダンスを披露し、一夜にして人々を熱狂の渦に巻き込み、新たな時代を切り開いていった。彼女の名前は、ロイ・フラー。その芸術的なパフォーマンスによって“モダンダンスの祖”として認められながらも、当時の社会背景と不条理な運命によって、一度は歴史の中に埋もれていた彼女の栄光と功績、そして苦悩の日々に再びスポットを当て鮮やかにスクリーンに蘇らせる本作。繊細でひたむきなロイの姿を演じるのは、ミュージシャンでありながら、映画『博士と私の危険な関係』でセザール賞の主演女優賞にノミネートされるなど多彩な才能を発揮する、ソーコ。そして、ロイの教え子でありながら最大のライバルダンサーでもあるイサドラ役をリリー=ローズ・デップが演じ、その複雑な関係性を繊細に描き出す。厳しい時代と現実に、類い稀な才能と強い信念によって立ち向かい、夢を実現させるために踊ることを止めなかった1人の女性の生き様に、心を激しく揺さぶられることだろう。
6月3日(土)新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、Bunkamuraル・シネマほか全国公開 ( http://www.thedancer.jp )/監督:ステファニー・ディ・ジュースト 出演:ソーコ(「博士と私の危険な関係」)、リリー=ローズ・デップ(「Mr.タスク」)、ギャスパー・ウリエル(「たかが世界の終わり」)/配給:コムストック・グループ 配給協力:キノフィルムズ/原題:La Danseuse 2016年 フランス・ベルギー 仏語・英語 108分/Photo: © 2016 LES PRODUCTIONS DU TRESOR - WILD BUNCH - ORANGE STUDIO - LES FILMS DU FLEUVE - SIRENA FILM
企画展「生誕120年 宇野千代展―華麗なる女の物語」
野間文芸賞、女流文学賞、芸術院賞を受賞、また文化功労者に顕彰されるなど、98歳の天寿をまっとうするまでに幅広い分野にて高い評価が寄せられた代表的作家・宇野千代。随筆だけでなく、雑誌編集や着物のデザインなど多彩な活動を行った彼女の秀抜な感性は、没後の現在も人々を魅了し続けている。生誕120年を機に開催されている本展では、作品原稿や挿絵原画、自身のデザインした着物や愛蔵の品々を含めた約250点の資料を観賞することができる。様々な顔を持つ彼女の生涯を、展示品と共に解き明かしてみてはいかがだろう。
神奈川近代文学館第2展示室( http://www.kanabun.or.jp/exhibition/6121/ )/開催中~7月17日(月・祝)/9:30~17:00 ※入館は16:30まで/休館日:月曜 ※7月17日は開館/一般400円、65歳以上・20歳未満及び学生200円、高校生100円、中学生以下無料/Photo:写真提供・藤江敦子
松川朋奈「Blind」
踵の傷ついたハイヒールや、脱ぎ捨てられたワンピース、身体の傷など、身の回りの物とそこに残された人の痕跡をモチーフとした油彩作品が高い評価を得る女性画家・松川朋奈。本展では、都会に住む女性たちへのインタビューをもとに構成した新作の絵画とともに、鏡を使った新たなインスタレーション作品が発表される。本展のタイトル「Blind」には、女性たちの“内側”と社会からの視線である“外側”に大きな隔たりがあり、それはお互いに「盲目的に」存在している、という意味が込められている。彼女がハイパーリアリズムで描く妖艶な作品の数々は、女性たちがひっそりと抱えている孤独や焦燥、不安や嫉妬といった、リアリティある感情を鮮明に浮かび上がらせる。
Yuka Tsuruno Gallery( http://yukatsuruno.com/pressrelease/pr061_blind )/開催中〜6月17日(土)/11:00〜18:00 ※金曜は20:00まで/休館:月・日・祝日/入場無料/Photo:松川朋奈「私にとっては、それがプライドみたいなものなのよ」パネルに油彩、130.3×194cm (C) the Artist, courtesy of Yuka Tsuruno Gallery