ユーモアたっぷりのアーティスト、ヴェンドゥラ・クノポヴァのアートパーティ

超売れっ子アーティスト、ヴェンドゥラ・クノポヴァ。だが、彼女が知ってほしいのは、自身がユーモアの親善大使であるということなのだ。

ヴェンドゥラ・クノポヴァ(Vendula Knopova)がファッション、そしてアートシーンにその名を知らしめたのは、昨年、世界に名高いイエール国際フェスティバルでフォトグラフィー賞を勝ち取った瞬間だった。そのとき、多くの人は困惑したが、それは彼女が賞に値しなかったからではなく、その作品が写真というメディアの枠組みを大きく超越していたからにほかならない。フェスティバルの会場であるヴィラ・ノワイユで作品を展示する際、ヴェンドゥラはインスタレーションの形態をとりつつも、パフォーマンス・アートの域にまで達しようと目論んだのだ。同人誌、自分の国の写真、そしてポストカードがお守りのごとくディスプレイされ、彼女がアートを通して表現したい距離感とユーモアが引き出された。近しいものと手の届かないもの、醜さと美しさ、そして生真面目さとジョーク。その境界線を、ヴェンドゥラはあいまいにしていく。彼女は、自分自身を「ユーモアの親善大使」と称するのが好きなようだ。そして、自らのアートを表現する際、「分裂気味の」とか「直感的」などという言葉を使う。とはいえ、その表現は的確なのだが。ヴェンドゥラは、現在パリの〈ル・クール〉ギャラリーで、新しいプロジェクト「ŽIVIJO」を公開中。最高の敵たちへのウェディングドレスをつくるなど、結婚に対する毒の利いたおもしろい皮肉満載のエキシビションだ。愛、自由、母性、そしてプレッツェル。そんなものがいっぱいつまった作品をつくるこのアーティストに、話を聞いた。

自分の作品を言葉で表すと、どのような感じでしょうか。

分裂気味で、直感的で、かなりおバカなもの。仕事は何なのかって聞かれるたびに、自分は写真家だって言わないようにしているの。だってそう思わないもの。私のことをユーモアの親善大使とか、何でも自分でやっちゃう屋だって表現した人ならいるわ。

皮肉はあなたの作品の一部ですよね。あなたは生真面目さとおもしろさ、B級文化と一流文化の境界線をあいまいにする。自分の作品が政治的だと思いますか?

正直、そうは思わないわ。だって、政治にはぜんぜん興味ないもの。まったくわからないし。まあキリンが大統領になったらちょっとは気になるかもしれないけど。私の作品で重要なのは、自由という点よ。

昨年、あなたのお母さんのデジタル写真を展示したことがありましたね。あの作品に隠された意味は何だったのですか?

母の名前はレンカというの。ごく普通の母親で、ちょっとだけデジカメを使えるわ。で、私は、母が撮りためた写真やネットで見つけた画像を保存してるハードディスクにアクセスしてみたの。それで、そのうちのいくつかを選んだ。家のペットと、自然災害の写真だったわ。母のコレクションから選んだものをそのほかの写真と組み合わせて、ひとつのコレクションをつくりたかったのよ。私は確固たる無心論者だけど、母には神のごとく説教するわ。

現代社会を生きる上で、最もバカバカしいことは何だと思いますか?

社会そのものや、いろいろな習慣の一般的なスピードは気になるわね。8本足のタコにでもならなきゃついていけないわ。だから私はカール・オノレイの本を読むことを勧めているの。スローライフ思想の学者や、その信奉者たちの非公式な代弁者よ。

今まさに直面している大きなチャレンジは何ですか?

自分自身ね。使い古された言葉だけど、過ちを繰り返さないことが、一番のチャレンジ。そして、自分の恐怖心に打ち勝つこと。

何かやめられない食べ物はありますか? コカ・コーラについてのあなたの言葉や、プレッツェルやポップコーンを題材にした作品から考えたんですが。

子供の頃から、食べ物に対する未だに何かわからない奇妙な恐怖があるの。私が決めていいのなら、これから一生、バターをつけたジャガイモかバナナだけ食べ続けたいわ。料理に関する話題も大嫌い。食べ物って、私にとってゴミみたいな存在なの。この感情は、私がしばらく作品を通して分析していることよ。

結婚式が大嫌いだと言っていましたよね。「ŽIVIJO」プロジェクトについて、もう少し説明していただけますか? そこに隠されたアイデアとは何なのでしょうか。

友人たちの結婚式に、これからもずっと出席して祝い続けなきゃいけないことに対して、私たちはノーベル賞を授与されるべきなのよ。あの人生最大のイベントとやらは、よくガマン大会になるから。あれがホントにいやなの。だから、私は自分でウェディング会社をつくろうと思ったのよ。そこでは、結婚式を忘れがたいものにするすべてを提供してくれるの。何から何まで準備するわ。場所探しから、食事のメニュー決め、空間づくり、飾りつけ、写真を使ったドキュメンタリー制作まで、ぜんぶ。花嫁にはスタイリングの提案もするし、ウェディングファッションのトレンドもつくり出しちゃう。

結婚したいと考えている若い女の子に一言伝えるとしたら?

飲酒がらみの問題があるおじさまたちは、さっさと招待客リストから外すことね。

今もまだ愛の力を信じていますか? あなたにとってそれはどんな意味を持っているのでしょうか。

私にとって、愛は自由を意味するの。愛の力を信じられない人は、みんなさっさと窓から飛び降りたらいいわ。

女性として、そしてアーティストとして、あなたにとって社会的地位の向上とはどういうことでしょうか。

あらゆる分野で、男性と女性は平等よ。マーマレードの瓶を開けるときだけは、誰かの力が必要になるけどね。

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