things to see and do this week

今週見たい映画やアート、カルチャーイベント4選。

May
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Jul
9

久野 彩子 / Rebirth

ロストワックス精密鋳造技法を用いて原型をシルバーや真鍮などの金属に置き換え、形を作り出すその表現技法が高い評価を得ているアーティスト、久野彩子の個展「Rebirth」が開催中。2014年に本格的な制作活動を開始後、様々なコンペティションを受賞してきた彼女が制作の発想源とするのは、建造物が密集している都市空間の風景を俯瞰したときに見える、建造物のアウトライン。設置された空間全体に干渉する、超高密度の化石のような、それでいて、放っておくと菌糸のように増殖し放射状に拡散しそうな、連続性や時間の流れを感じさせる作品の数々が展示される。創造と破壊、構築と再構築という、人々が繰り返してきた行為の儚さや脆さとともに、そこから生まれる力強さや希望、生命力といったポジティブな思いを感じさせる作品を前に、空間全体を通して表現されるテーマ“Rebirth”を存分に味わってほしい。

NANATASU GALLERY(https://www.nanatasu.jp/exhibition/index.php?id=59 )/開催中〜7月9日(日)/12:00〜19:00/休館:月曜・火曜/入場無料/Photo:「Rebuild」 2017 洋白、ブロンズ、シルバー925、真鍮 20×20×20 cm

May
8
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Jul
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マーリア・ヴィルッカラ個展

北欧を代表するデザイナーのタピオ・ヴィルッカラを父に、セラミックアーティストのルート・ブリュークを母に持ち、繊細ながらも詩的な情緒をあわせ持つ作品で知られるフィンランド人アーティスト、マーリア・ヴィルッカラの個展が代官山のART FRONT GALLERYで開催されている。常にその場所に隠されたポテンシャルは何かを探り、作品を通じて新しい詩を紡ぎだす彼女の作品は、世界中の多くの人々を魅了してきた。本展では、これまで彼女が用いてきた視覚言語の中から、ブランコや注射器、乳母車が空中を飛ぶ映像などを組み合わせ、ギャラリー空間から受けたインスピレーションとともに翻訳されることで、新たな作品として立ち現れる。静かに、しかし毅然として物質文明や、消費社会の在り方を批判してきた作家の問いかけに向き合い、自分なりに読み解いてみてほしい。

ART FRONT GALLERY (http://www.artfrontgallery.com/exhibition/archive/2017_06/3277.html )/開催中〜7月9日(日)/11:00〜19:00/休館:月曜/入場無料/Photo:Maaria Wirkkala “Wait to be Fetched” 2010,video

May
8
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Jun
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工藤 春香「生きていたら見た風景」

生命が発するエネルギーや重力などをテーマに、絵画やインスタレーションを制作するアーティスト・工藤春香。今回の個展で彼女は、すべての人間が持つ“優生学的思想”の有り様を描き出している。自身の妊娠と出産に際して「健康な子が産まれて欲しい。」そう思った時に気づかされた、他人事ではない“差別意識”の存在。また、身近で起こった子殺し事件や明確な優生思想のもとに起きた殺傷事件が、彼女を創作に向かわせる発端となった。空気のようにじわじわと、個人の価値観に影響を与えてきた優生学的思想の歴史における犠牲者の側、すなわち「伝えることができない側」の視点に立ち、彼らがもし「生きていたら見た風景」を淡々としたタッチで描いている。その作品群と静かに向かい合えば、自分と無関係で、日常とはかけ離れたもののように思われた凶暴な思想の一側面が、自らの内にも確実に息を潜めているという事実に気づかされるだろう。

ART TRACE Gallery  (http://www.gallery.arttrace.org/201706-kudo.html ) /開催中~6月20日(火) /12:00〜19:00/会期中無休/入場無料

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フランス映画祭2017

今年で25回目を迎えるフランス映画祭が、都内複数の劇場を舞台に開催される。4日間にわたる会期中には『シェルブールの雨傘』や『終電車』など、フランス映画史に残る数々の名作でヒロインを演じた国民的女優のカトリーヌ・ドヌーヴが自ら教える映画制作クラスをはじめ、『ELLE』でゴールデングローブ賞主演女優賞に輝いた名女優イザベル・ユペールが、自ら演じてきた女性像について語る講演「映画における女性像」や、ダンスを人生の道標とした一人の少女の成長を描いた話題作『ポリーナ、私を踊る』の上演など、豪華で魅力的なプログラムが展開される。フランス映画ファンのみならず、すべての映画ファンにとっても極めて貴重な体験ができるこの機会に、作り手、演者の熱い思いや、彼女達の描く作品世界に触れてほしい。

フランス映画祭 ( http://unifrance.jp/festival/2017/ )/会場:有楽町朝日ホール TOHOシネマズ 日劇ほか/6月22日(木)〜25日(日)/チケット料金:前売券 一般1,500円、学生1,000円 ※21日(水)23:59まで販売 当日券 一般1,700円 学生1,500円/詳細はWEB/Photo: 『ポリーナ、私を踊る』© Carole Bethuel - Everybody on Deck

This Week

和洋新旧の混交から生まれる、妖艶さを纏った津野青嵐のヘッドピース

アーティスト・津野青嵐のヘッドピースは、彼女が影響を受けてきた様々な要素が絡み合う、ひと言では言い表せないカオティックな複雑さを孕んでいる。何をどう解釈し作品に落とし込むのか。謎に包まれた彼女の魅力を紐解く。

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ヴォーカリストPhewによる、声・電子・未来

1979年のデビュー以降、ポスト・パンクの“クイーン”として国内外のアンダーグランドな音楽界に多大な影響を与えてきたPhewのキャリアや進化し続ける音表現について迫った。

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小説家を構成する感覚の記憶と言葉。村田沙耶香の小説作法

2003年のデビュー作「授乳」から、2016年の芥川賞受賞作『コンビニ人間』にいたるまで、視覚、触覚、聴覚など人間の五感を丹念に書き続けている村田沙耶香。その創作の源にある「記憶」と、作品世界を生み出す「言葉」について、小説家が語る。

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川内倫子が写す神秘に満ち溢れた日常

写真家・川内倫子の進化は止まらない。最新写真集「Halo」が発売開始されたばかりだが、すでに「新しい方向が見えてきた」と話す。そんな彼女の写真のルーツとその新境地を紐解く。

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動画『Making Movement』の舞台裏にあるもの

バレリーナの飯島望未をはじめ、コレオグラファーのホリー・ブレイキー、アヤ・サトウ、プロジェクト・オーらダンス界の実力者たちがその才能を結集してつくり上げた『Five Paradoxes』。その舞台裏をとらえたのが、映画監督アゴスティーナ・ガルヴェスの『Making Movement』だ。

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アーティスト・できやよい、極彩色の世界を構成する5つの要素

指先につけた絵の具で彩色するフィンガープリントという独特の手法を用いて、極彩色の感覚世界を超細密タッチで創り出すアーティスト・できやよい。彼女の作品のカラフルで狂気的な世界観を構成する5つの要素から、クリエーション誕生の起源を知る。

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『Making Codes』が描くクリエイティヴな舞台裏

ライザ・マンデラップの映像作品『Making Codes』は、デジタルアーティストでありクリエイティヴ・ディレクターでもあるルーシー・ハードキャッスルの作品『Intangible Matter』の舞台裏をひも解いたものだ。その作品には、プロデューサーとしてファティマ・アル・カディリが参加しているほか、アーティストのクリス・リーなど多くの有名デジタルアーティストが関わっている。

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ハーレー・ウェアーの旅の舞台裏

写真家ハーレー・ウィアー(Harley Weir)が世界5カ国に生きる5人の女性を捉えた旅の裏側、そして、ドキュメンタリー映像作家チェルシー・マクマレン(Chelsea McMullen)が現代を象徴するクリエイターたちを捉えた『Making Images』制作の裏側を見てみよう。

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ローラ・マーリンが表現する、今“見る”べき音楽

イギリス人のミュージシャン、ローラ・マーリンのニューアルバムに満ちている“ロマンス”。男っぽさがほとんど感じられないその作品は、女性として現代を生きることへの喜びを表現している。

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