身体の在り方を追求する、気鋭ダンスパフォーマー・ハラサオリの5つの心象

振付から即興のパフォーマンスまで、自らの身体で表現する独創的な世界観を武器に、世界を舞台に作品を発表し続けるダンスパフォーマー・ハラサオリ。美術家やモデルとしても活躍する彼女の5つの心象から、創作行為における彼女の真意を垣間みた。

1

ベルリン

ダンサーになると決めてベルリンへ飛んだのが2012年。それ以降1、2年ごとに東京とベルリンを往復する生活をしています。東京から逃げるようにこの街へ来た当時は、肩書きや年齢をぶっ飛ばしながら飄々とたくましく暮らしている人々との出会いに救われました。「ダンサーの自分」にとってはここがホームです。

2

国内外問わず、ひとり旅が好きです。子供のころは「大人になるということは遠くへ行けるようになることだ(子供は不自由!)」と切実に思っていました。そして旅ができるようになり、当初はそれを確かめるように遠出を楽しんでいたのですが、日常と旅の往復を繰り返すうちにその境をどれだけ曖昧にしていけるかということを考えるようになりました。

3

"Das Triadische Ballet" by Oskar Schlemmer

バウハウスの主要メンバー、オスカー・シュレンマーによる1922年の舞台作品が、1970年に映像作品として復元されたもの。身体と空間の関係を考察するためのヒントが大量に詰まっています。この作品をきっかけに関連作家や作品にも興味をもち、そこからバウハウス大学への留学に至りました。

4

実家で23歳のメス猫(人間なら100歳超)と、自宅で3歳のオス猫を飼っています。幼いころから彼らと暮らしてきたので、猫を通して物事をみる癖があります。

「猫について考えることはアートについて、又はアーティストについて考えることだとぼくは常に思っている。(横尾忠則)」、そうだったらいいなと思います。寺山修司の詩にもたびたび猫が出てきますが、「恋という字と 猫という字を 入れ替えてみよう」という一節が好きです。

5

ごっつええ感じ

日本のムラ的な空気に収まりたくないと思う一方で、この国特有のハイコンテクストなセンスに惹かれる瞬間も多くあります。これは笑いに限ったことではなく、さまざまな文化的営みやコミュニケーションにひそむ翻訳不可能な感覚にも常に敏感でありたいと思っています。

ハラサオリ(Saori Hala)ダンサー、美術家、モデル。2012年より東京とベルリンを拠点に活動を開始し、自身の振付や即興をベースにパフォーマンス作品の制作を重ねる。近年は美術家・音楽家との共作や、映像作品への出演・振付なども積極的に行っている。

halasaori.com

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