アートフィルムからPV、GIF、そしてアニメに至るまで、あらゆる種類の動画を通じ、現代の女性たちが制作した動くイメージを賛美するというこのプロジェクト。女性のみのコミュニティや共同体の必要性は今までも叫ばれてきたが、メディアやアートの世界では、いまだ男性の存在が女性のそれを凌駕している。フェミニストのアート共同体〈ゲリラ・ガールズ〉は、30年もの間、声を大にしてアート界で女性の扱いが悪いことを訴えてきた。映画監督キャスリン・ビグローは2010年に映画『ハート・ロッカー』でアカデミー監督賞を受賞しているが、これは87年にもわたるアカデミー賞の歴史において初めてのこと。映画界におけるジェンダー間のアンバランスさを象徴するような事実である。
アート、写真、映画など、多様な媒体とコラボすることで、女性的視点からつくられた作品を公開し、同胞たちを鼓舞するような場を提供するというのが〈Hervisions〉の第1の目的だ。上映会やパネルディスカッションなどのイベントをオーガナイズしたり、女性クリエイターがリアルで交流したりする場所ともなっている。
このプロジェクトが〈The Fifth Sense〉のためにつくってくれたのが、下に公開した3つのGIF動画だ。直感力を探求したこの作品では、女性たちが自身の本能をどのように発展させ、表現し、維持しているのかが考察されている。
アニー・ワン
アニー・ワンによる『Tropical Bonanza』では、作者が言うところの「無意識の思考と予期せぬ発見」が表現されている。アニメの桃が割れ、中身をさらけ出すことで、パターンを構成する作品だ。アニーは、過去の経験が新しいリアクションを引き出し、美しく驚くべき結果をもたらすことに関心があるのだという。
サム・キャノン
サム・キャノンの動画は、目に見えるかたちで女性の直感を表現した、優美でセンシュアルな作品。半分水に浸った3つの物体は、情報をシェアし、受け渡していく女性の力を考察したものである。神話や宗教によく使用される処女、母、老婦人といったモチーフを比喩的に使うことで、液体を用いた表現が、癒し、出産、変化といった女性に本質的にそなわった概念を想起させるつくりになっているのだ。
ソフィー・ロジャーズ
ソフィー・ロジャーズの作品『JN-5’s Duty』は、導入部分をアイザック・アシモフの『女の直感』から取っている。この小説は、デフォルトで直感的かつ女性的だと見なされたロボットの、コントロールできない行動について書いたもの。試行錯誤するうち、ロジャーズは、もし直感が本当にあるのだとしたら、この動画は「女の本能のデリケートな部分と、定義不能な宇宙の広大さ」を対比させるものになるのではないか、という疑念を抱かせたのだという。