ダフネ・グレーカ(Daphne Greca)は、26歳のスケーター。ロンドンのブリクストンにスケートショップBaddest(バデスト)を立ち上げた創始者でもある。ギリシャのアテネに生まれ育ち、写真を学ぶため、17歳のときロンドンに暮らし始めた。写真の学校を卒業する頃、スケボーに出会い、人生が180度変わった。「衝動を感じた時いつでもスケートができるように」と、スケートパークがより近くにある環境を求めてブリクストンへと引っ越しまでした。しかし、いつでもスケートができる環境こそ整ったものの、ブリクストンにはスケートショップがない——そう感じて、ダフネは、Baddestを立ち上げた。「スケボー人口が増え、スケボーの影響力が拡大するに従って、世界の大きな企業がスケボー界に参入してくるようになった。でも、スケボー界はスケーターたちが中心になってできあがっているべきもの——そして、わたしたちスケーターはもっと地元を大切にしなきゃいけないと私は思ったの。だからBaddestをここに立ち上げた。こんなやり方で世界を変えていくというのもいいでしょ」と彼女は話す。彼女を刺激する5つのことについて聞いた。
スケボー愛が芽生えたのは、思春期も終わりに差し掛かった頃だった
ロンドンのソーホーに暮らしていたとき、仲良しの友達のひとりがスケボー好きで、ある日彼女のボードに乗ってみたの。そしたら楽しくてね。思わず爆笑してしまうような、そんな爆発的な楽しさを味わったの。始めたのは20代前半と遅咲きだったけれど、だからこそ心が解き放たれたように感じたわ。ひとつひとつのテクニックを学んで突き詰めるには遅かったから、「ならばひたすら楽しんでしまえばいいんだわ」と思った。とても自由になれたの。
スケボーが感じさせてくれるのは、究極の幸せか究極の怒り
スケボーは瞑想と同じ。心を無にして、「今、ここ」という「瞬間の状態」だけに集中しなければならない。今この瞬間自体に、ひとは何を求めるわけにもいかない。だからプレッシャーもない。献身の愛にも似たもの、そんなものなの。心に傷や痛みを残した出来事は誰にでもあるでしょう? 怒りや心の痛みを直視し、適度な距離を見出して乗り越える、そのプロセスをずっと支えてくれた——それがスケボーだったの。
波が砂浜に打ち寄せる音に、子どもの頃を思い出す
ギリシャとアナトリア半島の間のエーゲ海沿いで、私は育ったの。そこにあるどこまでも続く青の世界と、そこから生まれる力には、永遠と必然性を感じることができる——未来も過去もなく、必然からなる「今」という永遠の宇宙を感じて育ったというのは、わたしの宝。
私にとって、フェミニ二ティは「力」。誘惑のアートであり、ヒューマ二ティと自然の間にある唯一の神秘的コネクション。
成長して、女性になるというのは、感動の体験。“自らを女性と自認するひとびとに最低限の人権が認められている国”に生まれ育つことができれば、特にね。
エーゲ海に浮かぶケア島——そこにカルテアという小さな浜辺が、私にとってもっとも特別な場所。
そこには古代の劇場があって、古代寺院がふたつ、それとキリスト教の教会がひとつある。どれも、紀元前1200年に建設されたもので、舗装された村道から細道を入って一時間ほど歩かなければ見ることができない古代都市なの。数十世紀の時の中で大理石が風化したさまを見ると、「過去と現在、そして未来は一体なんだ」と感じさせられる。あそこで感じる力は圧倒的よ。